事務所ブログ

2014.04.08更新

目黒駅近くのリベラルアーツ法律事務所の弁護士の松木隆佳です。

みんなの党の渡辺代表が辞任したとニュースになっていましたね。

ところで,報道によると,渡辺代表は,個人的な借入れで違法なものではないと説明しているようですね。
では,法律上の問題として,何が問題になりうるのでしょうか。

まずは,政治資金規正法です。
第9条で,「政治団体の会計責任者・・・は,会計帳簿を備え,これに当該政治団体に係る次に掲げる事項を記載しなければならない。」とあります。
そして,一号で,「すべての収入及びこれに関する次に掲げる事項」として,その「チ」で,「借入金については,その借入先,当該借入先ごとの金額及び借入年月日」とあります。
支出についても同様です。

これに違反すると,3年以下の禁固又は50万円以下の罰金となります(24条)。

すなわち,政治資金規正法によれば,個人的借入れではなく,政治団体の借入れであるとすると,会計帳簿に記載がないことが問題になります。
渡辺代表の説明によれば,個人的借入れということですので,それであれば,この点は問題ありません。

次に,選挙の直前の借入れであったので,公職選挙法との兼ね合いも問題になります。

公職選挙法では,公職の候補者は,その選挙運動に関する収入及び支出の責任者(出納責任者)を選任しなければならないとされています(180条)。
そして,出納責任者は,会計帳簿を備え,選挙運動に関するすべての収入,支出を記載しなければなりません(185条)。

報道によれば,帳簿に記載をしていなかったということですから,選挙資金と判断されると,出納責任者が責任を問われます。

これに違反しているとすると,3年以下の禁固又は50万円以下の罰金になります。

渡辺代表の説明ですと,「政策策定や党勢拡大に資する情報収集、意見交換のための費用」ということのようですので,これであれば,選挙費用ということではなく,公職選挙法上も問題がないということになります。

この点について,個人的な見解を述べるのは控えておきますが,今後,これらの点が問題とされていくと思われます。